広谷順子
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第9章 大好きな時間

小学校では早くからピアノを習っていた事が功を奏して音楽だけは良い成績でした。
1度だけ「今日は作曲をしてみましょう、、」との授業にいとも簡単に曲を作る事ができた時は自分でもびっくりでした。しかも歌詞付き!
今でもなんとなく覚えています。三拍子の曲。
"♪だ〜れかが口笛吹いた、だ〜れかが歌を歌った〜〜♪"

高学年になると学年からピアノの弾ける子としてアコーディオンバンドに抜擢されます。
毎朝他の生徒より早く登校し朝練!
朝礼で私たちの演奏するマーチに合わせて生徒は教室へ戻るのです。
全校生徒が戻るまで校庭で演奏し急いでアコーディオンを片付けて1限目に滑り込む。。
忙しい朝も楽しい時間でした。
このバンドのために先生が用意して下さったソプラノ、アルト、テナー、バスと、パート毎に分かれた譜面を読むのがとても楽しくて「フーガの技法」など、バロック音楽の面白さに目覚めたりとても勉強になりました。(ちなみに一つ先輩にあのマライアの笹路正徳さんもいました。)

食堂で一斉に取る給食タイムではクラシックやオペラなどを聞かせてくださり、これまた大好きな時間。中でもオペラ「魔王」を聴いた時の物語に引き込まれる感覚。 今聴いても当時のドキドキ感が蘇ります。

この頃にはきっと絶対音感が自然と身についていたのでしょう、 一度聴いた曲はすぐに弾けたし和声も見えました。
兄はそんな私を面白がって、和音を弾いては「この音なんだ〜」と聞きます。
「ドレミソ〜」とか「ファソラミ〜」とか答えると笑いながら
「お前なんでわかるんだよ〜〜!」と。
「でも音が言ってるじゃないなんでわからないの〜〜?」と 私からしたら逆にわからない事の方が不思議で仕方なかったのです。

そんな私を見てある時から兄は猛烈にピアノを独学で練習していき、 気がついたら私よりかなり上手になっていました。 音楽的才能は実は兄の方が数段上だったのだと思います。

絶対音感とは

ある音を聴いただけでその音の音名(高さ)が分かる能力。
出典:音楽用語辞典

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