第46章 感動
そしてとうとう辿り着いたのです。逸る気持ちと裏腹に、何故か足取りは重くなりました。
この建物の中に一村がいる。。そしてゆっくりと扉を開けました。
初めて目にした原画は、TVや画集で想像したよりも大きく美しく、力強くエネルギーに満ち溢れていて、一村の絵に囲まれながらいつの間にか涙が溢れて動けなくなっていました。
幸いお客さんは私一人。思う存分穴のあくほど見つめては泣きました。
その後もこの時ほど一村を近くに感じた事はありません。
彼の言葉「真実の絵を描き残す事が私の生きる道なのです。私が死んでも絵は残ります。
私を離れ 絵が一人歩きした時に、絵の中にある真実が人の心に感動を与えるのです。」
一村の生き方にも共感を覚え、そんな一村への思いを歌にしました。
それが「残照」
<帰去来>に収録する事になって大好きな絵を一枚ブックレットに載せていただける事になったのです。も〜う思い残す事はありません!
<残照> (帰去来 M−2)
晴れ渡る ビロウの葉陰から 浮きたつ空
音もなく舞い散る花びら 行き連る
風に彷徨ひ遠く 言問う縁も無く 惹かれし時の残像
忘らるる思ひ今 花、月になれ
潮騒に揺らめく浜木綿 見上げる空
茜さす最果てに香る 夕映え
この手のひらに熱く こぼれし銀の雨も 帰らぬ日々の残照
あなたの心に今 花、月あれ
愛しき日々の残照
忘らるる思ひ今 花、月になれ 花、月あれ
2013年<帰去来>リリース。
体調不良により<帰去来>のリリースライブは出来ませんでした。
もし元気だったらきっと<第十帖 星の蛍>なんてタイトルつけて儚い命をテーマに
していた事でしょう、、残念です。
この年唯一CD化されていなかったソロ時代の3rd.Album<ENOUGH>もCD化されました。
それもリリース日は<帰去来>と1日違い。物凄い偶然でした。
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