広谷順子
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第24章 空の青

ある日、朝起きるとひどい腹痛に見舞われ七転八倒!
脂汗をかきながら近所の医者へ駆け込みました。
待合室で順番待ちをしようにも、どうにも痛くてお腹を抱えその場に倒れこんでしまった私を見て、慌てた看護婦さんが順番すっ飛ばして診察室へ運んでくださり、、
以前卵巣の手術をしているので、同じ医師に診てもらった方が良いとの判断から、タクシーを呼んで御茶ノ水の病院へまっしぐら!高速渋滞中も痛みが襲ってきて運転手さんは焦る焦る!無事病院到着!なぜ救急車を呼ばなかったのか!?
今では思い出せないですが結果、術後の癒着による腸閉塞でした。即入院!危なかったです。
鼻から管を通して吸い上げる。ハ〜なんてこと!
仕事は全てキャンセル、そしてトラを入れてもらうよう連絡。これが大変でした。
数日の入院ですっかり回復!今後暴飲暴食はNG!と、とどめをさされて退院!
退院を待ってくれていたお仕事からまた、普通のワークホリックに戻りました

おかげさまでお仕事はどんどん増えてゆき、1日何セッションもCM、仮歌、コーラスと午前に始まり明け方まで拘束される事もしばしば。
その頃実家暮らしをしていた私は実家のある府中市から都内を点々とするスタジオへの車での往復でかなり道路事情に詳しくなりました。
自転車に乗れない私が唯一自分で動かせる乗り物、そう!車!
突然思い立って免許を取りに行き初めて車を動かした時はこの上ない感動でした。
これなら転ぶこともない!(笑)
免許書が手元に届く前にマイカーが届きそれから毎日毎日友達と会っては送り狼。
乗りまくりました。
しかし仕事帰りは眠気もありどうにも身体がもたない。事故など起こしてしまったら大変!
そこで実家を離れて一人暮らしをする事にしました。

初の一人暮らしの地は近くに友人達もいるので安心と渋谷区の笹塚に決定!
半ば箱入り娘のように育てられた私の30歳にしての初の独立宣言でしたが嬉しかった〜!
公共料金を払いに行く事さえ嬉しくて、親離れと言う事がこんなに新しいエネルギーとなって、人として何段もの階段を登ったような気持ちにしてくれるとは思ってもいませんでした。
車もシビックからプジョーへ、その後しばらくはフランス車にはまって乗り継いで行き、帰り時間も気にしなくていい自由を謳歌しながら、ワークホリックは眠るのも忘れるほど続いて行きました。

そんなある時、運転中、目の端に青いものが飛び込んで来たのです。
「あれは何?」
同乗していたコーラス仲間であり公私ともに仲良くしている大親友のラジに
「何言ってるの?空でしょう〜!」
そう言われて自宅とスタジオの車移動で空を見る事も忘れていた事に気がついたのです。
これはいけない!それから少しずつ空や緑を意識するようになりました。

トラとは

ピンチヒッターのこと

仮歌とは

レコーディング時にガイドとして仮に収録する歌。
アーティストやミュージシャンに曲の雰囲気や歌い方を伝えるのが役目。
作品が完成すると消えてしまう儚いヴォーカル。

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