広谷順子
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第22章 スタジオミュージシャン

ある日、インペグの方から「譜面読めるよね。仮歌やってくれない?」とのお話があり、、、
仮歌?目の前に出された譜面を歌えばいいの、、なんだかわからないけどバイト感覚でスタジオへ行ってみました。
スタジオには自分のレコーディングでご一緒した顔なじみのミュージシャンがスタンバッていて、私のブースの譜面台に1枚のメロ譜が置いてありました。
直ぐにレコーディング開始!半ば初見で歌詞とメロディーを同時に読むことになり、間違ったら大変!あたふたしましたが気心知れたミュージシャンのおかげで和気藹々と終える事が出来凄く楽しかった事を思い出します。

仮歌はレコーディングの際はそこにいるミュージシャン、スタッフ、不在のアーティストに向けてのオンステージなのです。でも私が間違ったら演奏も崩れてしまう。
歌手の方も間違えてそのまま覚えてしまう。いずれは消えてしまうけどとても重要な役割、、なんだか私にピッタリ!
帰り際、「また明日も来てくれる?」 そう言われてスタジオミュージシャンのお仕事は現在まで続いて行きました。

スタジオには、写譜屋さんがそれぞれのアレンジャーさん付きでスタンバっていて、出来あがって来た譜面を読み易いように美しく書き直していきます。
なんて綺麗な譜面!私は写譜をしていくのをそばで見るのが大好きでした。
いつもリズム隊から譜面は出来て行くので、仮歌は一番最後!
仮歌譜面が出来上がる頃にはリズム隊の音決めも丁度終わっている頃なので、ブースへ譜面を持って走り入り即、歌い出すというのがほとんど。
写譜が間に合わない時は、作家さんやアーティストのデモテープをヘッドフォンで聴かせて頂き採譜をする。それぞれのデモテープを耳元で聞く事が出来るのです。
これは役得と言ってもいい作業でした。
歌詞が書き込んである時は歌いながらその曲の意味を把握していく。
譜割りはこれで良いのかとか歌詞のない時はラララ、、で!
ラララにだって魂はある。作詞家さんがイメージし易いように。
そして歌詞が出来あがってきたら歌詞を乗せる。こんな歌詞になるのか〜書き込みながら誰よりも先に感動してそれを歌う!
いいなぁこんなオケを自分の作品として歌えるアーティストさんは〜!
ハモがあればハモもつけて!などなど、、実はとても忙しいのです

インペグとは

INSPECTORの事。
音楽現場で演奏するミュージシャンを斡旋するのがインペグの仕事です。

仮歌とは

レコーディング時にガイドとして仮に収録する歌。
アーティストやミュージシャンに曲の雰囲気や歌い方を伝えるのが役目。
作品が完成すると消えてしまう儚いヴォーカル。

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